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LPG車の燃料「LPガス」


LPガスとは

LPガス(LPG)とは「Liquefied Petroleum Gas(液化石油ガス)」の略称で、プロパン(C3H8)やブタン(C4H10)を主成分とするガス体エネルギーです。特に主成分がプロパンの場合は「プロパンガス」とも呼ばれます。
LPガスは通常は気体ですが、圧力をかけたり冷却することによって比較的容易に液化させることができます。例えば、20°Cの状態ではプロパンで0.73MPa(約7気圧)、ブタンで0.11MPa(約1気圧)の圧力をかけることによって、また大気圧下において温度をプロパンで-約42°C、ブタンで-約0.5°Cまで下げることによって液化させることができます。

LPガスを液化させると、体積は気体時の約250分の1に縮小します。これにより小型の容器にLPガスを液体で充てんし、大量のエネルギーを全国津々浦々まで効率良く供給することができるようになります。この意味でLPガスは、可搬性に優れた分散型エネルギーであるということが言えます。

 ちなみに都市ガスの主原料である天然ガスは、-162°Cまで冷却しないと液化しないため、導管を通じて気体の状態で供給されています。現在都市ガスの導管設置エリアは国土全体の5%程度で、残りの95%はLPガスの供給エリアとなっています。

LPGガスの組成

状態変化に伴う体積の変化

全国津々浦々まで供給



LPガスの環境性能

温室効果ガスを削減するには、環境負荷の小さいクリーンなエネルギーを効率的に利用することが必要です。LPガスは石油や天然ガス等の化石エネルギーの中で相対的に二酸化炭素排出量が少なく、燃焼時の排出ガスも極めてクリーンなエネルギーなので、地球温暖化防止の即戦力として期待されています。

LPガスの二酸化炭素排出原単位

LPガスの燃焼時の二酸化炭素排出原単位は、原油を1とした場合、指数換算で0.86となり、ガソリンや灯油など他の石油製品と比べて約10%少なく、天然ガスを含めた化石燃料の中でもトップクラスの環境性能を持っています。

LCI分析における二酸化炭素排出原単位

「LCI分析」とは、燃焼時の二酸化炭素排出量だけではなく、各エネルギーの生産・輸送段階における排出量まで含めたトータルの二酸化炭素排出量を推定する方法で、これによって各エネルギーの環境性能をより厳密に比較することができます。これによると、LPガスはLNG、都市ガスに比べ、燃焼時の排出量は大きいものの、合計の排出量はガス体エネルギーとして都市ガスとともにクリーンなエネルギーであることが分かります。